公共貨幣と債務貨幣
私たちが本日議論したいのはこの表で言いますと、縦の分類です。
一つは公共貨幣という概念でお金を考えるということです。そしてそれに対峙して債務貨幣という概念でお金を捉えるという考え方です。公共貨幣は歴史とともに始まった概念ですが、債務貨幣はここ2〜300年のうちに突如として現れてきたお金です。私たちが経済学で学ぶのは、この債務貨幣についてのお金のみです。今の経済学では、この公共貨幣について一切学べないようになっています。お金をどう考えるのか、これは非常に大事な点なのですが、これが現実です。
利息が付くか、付かないか
公共貨幣 Public Moneyと債務貨幣 Debt Money、この違いについて理解していただければと思います。この理解がないと歴史が正しく見えて来なくなります。公共貨幣とはどういう貨幣なのか、公的機関が発行するのが公共貨幣です。その特徴は、公共貨幣を発行しても利息が付かないことで、これは大事な点です。
それから、公共貨幣は発行するごとに発行機関に発行益があるということです。発行益とは英語でシニョリッジ(seigniorage)と言います。発行する公的機関に一回限りの発行益が付くということです。
簡単な例で説明します。500円玉は政府が発行するお金ですが、1枚あたりの製造費は43円です。この差額の457円が政府に自動的に入ってくる発行益です。この発行益について、インターネットなどで混乱した情報が出回っています。皆さんは、この発行益は、公共貨幣にのみ帰属する概念だと理解してください。
債務貨幣とは何か、民間銀行が発行する銀行券のことです。民間銀行の中には中央銀行も含まれます。中央銀行は公的機関じゃないのかと質問される方が必ず出てくると思います。これが私たちが教えてもらっていない秘密になるのですが、現在世界中に存在する中央銀行はほぼすべて民間銀行です。民間の中央銀行が発行する銀行券が債務貨幣の代表的なものになっています。民間中央銀行発行の銀行券には必ず利息がついてまわります。公共貨幣には利息がつかない、民間中央銀行が発行する銀行券には利息がつく、これが大きな違いです。
「この1万円札には利息はついてないですよ」と仰る方がいるかもしれません。しかしこの1万円は債務として日本銀行が皆さんに貸してるお金であり、政府が借りて皆さんに使ってもらっているお金なのです。政府は日銀にいくらかの利息を払っているのです。皆さんの1万円に利息がついているということ、これをほとんどの方は知らないのです。債務貨幣という形で利息がついているのです。
利息がつくのは銀行券だけではありません。もう一つは、無からお金を創造して貸し付ける、手元にお金がなくても信用創造して貸し付けることができるお金です。皆さんはこのお金に対して、例えば銀行ローンという形で利息を支払っています。このように民間銀行は日銀が発行する銀行券をベースにして、無から預金というお金をつくりだしているのです。日銀はこのお金を「預金通貨」と呼んでいますが、これはウソです。預金は通貨ではありません。預金は平時には通貨として機能していますが、法定通貨では全くありません。不況で銀行の取り付け騒ぎが起こると、消えて無くなるお金です。
このように2つのタイプの債務貨幣、すなわち、日銀券と預金があるということを、まず押さえておく必要があります。
なぜ債務貨幣が支配的になってきたかと言いますと、日本のことわざに「金で面を張る」というのがありますが、お金があれば支配できるということですね。もう一つ似たようなことわざに、「金が言わせる旦那様」というのがあります。お金を持っている人は旦那様と大事にされるという意味です。英語で旦那、gentlemanというと品格ある立派な人というイメージですが、ジェントルマンとは日本語では「銭とる人」、すなわち人から金をむしりとる人が旦那様と呼ばれている、とも解釈できますね(これはジョークですが)。このようにお金は支配の手段ともなれるのです。
お金は公共貨幣と債務貨幣からなっている、これが私たちが理解すべき点です。
この公共貨幣から1%が支配する債務貨幣へと国盗りが行われてきた、これが歴史の大きな流れです。こういう観点で見ると、今までとは違った歴史が見えてきます。
この観点から新しい国生みについて考えてみたいと思います。
~「お金が変われば世界が変わる!公共貨幣で新国生みトークンを創ろう 2018年」より~
本ページ担当: PMFJ Supporters Group.