債務貨幣システムから公共貨幣システムへ

お金とはなにか

ここからが新国生みのお話です。

新国生みの第1の条件は、公共貨幣省を新設し(現在の金融庁の組織替えでもよい)、そこに日本銀行を統合するのです。さらに公共貨幣委員会を国会に常設し、物価が安定するように常時公共貨幣の流通量を管理するのです。2番目に、民間銀行に無から信用創造をさせないようにするのです。具体的には現在の銀行の準備金370兆円を、615兆円の要求払預金と等しくなるように積み上げさせ、いつでも預金額に見合った準備金を担保させるのです。このためには、銀行保有の国債を額面保証で担保にさせたり、それでも不足の場合には、公共貨幣省が無利子で公共貨幣を融資するのです。3番目に、経済成長や福祉に必要なお金はすべて公共貨幣でまかなうようにするのです。この3つが新国生みの条件になります。

お金とはなにか

このために私は著書「公共貨幣」で「日本国公共貨幣法」を提案しました。本会場受付にて同書を販売していますので、興味ある方はお読みください。公共貨幣システムにデザインを変更すると、バブルや不況・借金もなくなり、所得格差もなくなり、環境に優しい社会が生まれるのです。いいことづくめに見えますが、システムデザイン上(経済理論上)、実際そのようになるのです。これが私たちが提案している新しい国生みです。

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しかしながらケネディ大統領が暗殺された歴史からも分かるように、債務貨幣による既得権益勢力からの抵抗は強大です。しかしながら幸運にも新しい救世主が登場したと考えています。2008年のサトシ・ナカモトによるビットコインに代表される、ブロックチェーン技術、暗号(仮想)通貨技術の登場です。これまでのスマホ決済、クレジットカード、QRでの決済とともに、最近は銀行が独自の暗号トークンというのを発行し始めました(例えば、三菱UFJコイン等)。そしてこれからはキャッシュレスの時代ですよと大きく宣伝しています。これらは銀行系の暗号通貨や仮想通貨とも呼ばれていますが、すべては銀行預金をベースとしたキャッシュレスです。

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それに対して私たちは、EPMトークンと呼ばれる電子公共貨幣、暗号貨幣の電子マネー版といった地域通貨トークンを発行して広く決済できるキャッシュレス経済に切り替えていこうと提案しています。EPMトークンはイコカ(ICOCA)などの交通系電子マネーをさらに暗号貨幣化したようなものとイメージしていただければいいのですが、法定通貨であるベースマネー(昨年10月現在、約477兆円)を担保としており、この意味で最も安全 (Most Secure)で、且つ、円との交換比率が1:1で最も安定(Most Stable)した暗号貨幣(Crypto-money)です。

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具体的には地元の金融機関、淡路島ですと、淡路信用金庫や淡陽信用組合など、営利目的のみではない地元に密着した組合員のための金融機関等と協力しながら、EPMトークンを発行し、地域の色々な取引決済ができるようにしたいと思っています。EPMトークンという新しい時代の地域通貨で、再び地域が主役となり、地域経済が活性化されるようになることを念願しています。江戸時代に藩札という地域密着の公共貨幣の発行によって諸藩が栄えたように。

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まとめますと、新国生みの条件は以下の3つとなります。まず第1に、古事記に代わるビジョンとして「公共貨幣」の経済理論、および「公共貨幣で新国生みイニシアティブ」を提案します(イニシアティブは本日の講演プログラムに掲載のサイトからダウンロードできます)。第2に法律として、大宝律令に代わり「日本国公共貨幣法」を提案します。第3に公共通貨として、和同開珎に代わり、電子公共貨幣やEPMトークンの発行を提案します。こうした新国生みの3条件がほぼ整いつつあるということを、会場の皆さんと共有させていただきたいと思っています。

お金とはなにか

新国生みプロジェクトの手始めとしてのEPMトークンの実証実験ですが、淡路島からスタートしてもいいし、さまざまな地域や地方から要望があり次第スタートしてもいいです。つまり、古事記の国生み神話では淡路島から始まった大八島ですが、新国生みはEPMトークンの発行・流通という形で淡路島に限らず、全国どこからでもいいから始まっていただきたいというのが私たちの希望です。

和同開珎から1300年が経ちました。やっと新しい国生みができる条件が整ってきたのだということを本日の結論として皆さんと共有させていただきたいと存じます。ご清聴、ありがとうございました。

(本稿は第3回公共貨幣フォーラム(2018年6月16日)での山口薫氏の講演「電子公共貨幣EPMで「新国生み」実証実験を始めよう」の動画を、一部修正、加筆したものです。なお、同講演で使用した画像の出所の多くは、Google画像検索で、営利目的での使用は一切ないことを、あらかじめお断りしておきます。)

~「お金が変われば世界が変わる!公共貨幣で新国生みトークンを創ろう 2018年」より~  動画でもご覧いただけます。

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